ボートって?

「ボート」という言葉を知らない人はまずいないのでは?しかし、「ボート競技」となるとどうでしょう?ひと頃、ドラマや漫画で扱われたこともあって、若干認知度も上がってきたかもしれませんが、それでもボートの話をすると、競艇や、カヌー・ヨットとごちゃごちゃになっている人もいます。
しかし、本場欧米ではメジャーなスポーツであり、また、オリンピックにも第1回アテネ大会から採用されています。

ボート競技とは?

ボート写真

レースはレガッタや競漕とも言います。競技用「ボート」に乗り、オールを使って水を漕ぎ、よーいどん!で2,000mの直線セパレートコースを一番早くゴールした艇が勝ち。ルールはとても簡単です。(※実際はAttention GO!の掛け声とサインでスタート。距離は国体・インターハイ等で1,000m、全日本・インカレ等で2,000m。他にもヘッドレースといって、河川等で数キロ漕ぐレースもある。)

公園のボートと違い、競技用のボートは非常に幅が狭く細長い流線型をしており、「F1」のように無駄なものを一切省いたまさに究極の形をしています。シートがスライドすることから、全身使って漕いで行きます。

後ろ向きに進むので、一般的に先行すると相手の動きが見えることから有利となりますが、クルーの体力や特性などを考慮して、どのタイミングでスパートするかなど、駆け引きの要素も多分にあります。もっとも、真に強いクルーは駆け引きなどせずとも勝つものですが。また、河川や湖、ダムなど自然の中で行うスポーツなので、風や水の流れといった影響も受けます。

レースを見ていると、単純な動作の繰り返しでスイスイ水面を滑るように漕いでいるように見えますが、技術的な要素も大きく、とても奥が深いスポーツです。艇を0.1秒でも早くゴールさせるために、選手はパワー、スタミナ、テクニック、精神力のすべてを注ぎ込みます。もちろん同じクルーの仲間と完璧なユニフォーミティーを作り出すことができなければ、お互いの足を引っ張り合うだけで艇は進みません。また、オールを取り付ける装置(ローロックという)などの設定も選手自身で行いますが、0.1度、0.1mm単位での調整がレースの結果を左右します。

種目

さまざまな種目がありますが、大きく分けて、両手でそれぞれ一本ずつオールを持つスカル(Scull)種目と、両手で一本のオールを持つスウィープ(Sweep)種目に分けられます。また、1人漕ぎ〜8人漕ぎまで、さまざまな種目があります。男子と女子に種目の違いはありません。

【スカル】
シングルスカル(1x)・・・1人漕ぎ
ダブルスカル(2x)・・・2人漕ぎ
クォドルプル(4x)・・・4人漕ぎ
舵手付きクォドルプル(4x+)・・・4人漕ぎ+コックス(舵手)

【スウィープ】
舵手なしペア(2-)・・・2人漕ぎ
舵手付きペア(2+)・・・2人漕ぎ+コックス(舵手)
舵手なしフォア(4-)・・・4人漕ぎ
舵手付きフォア(4+)・・・4人漕ぎ+コックス(舵手)
エイト(8+)・・・8人漕ぎ+コックス(舵手)

ダブルスカル
ダブルスカル
舵手付きクォドルプル
舵手付きクォドルプル
舵付きフォア
舵付きフォア

クルー&マネージャーの役割

ボートに乗っている選手のことをクルーと呼びます。クルーにはそれぞれ役割があります。舵手付きフォアを例に紹介します。
写真の右側が進行方向(船首)、左側が船尾です。スウィープ種目だと、通常、ストロークが漕ぐオールは漕手の右手側に突き出しており、また、バウが漕ぐオールは左手側に突き出しています。ゆえに、漕手から見て右手側をストロークサイド、左手側をバウサイドと言います。
ポジションは、進行方向に向かって後ろ)から順に・・・

◆コックス(Cox)・・・舵手ともいう。艇のかじを取るとともに、大きな声で選手に様々な指示を出す。また、クルーを励ましたりコーチングしたり、とっても忙しい。それに、漕手はコックスの言うことは必ず聞かなければいない。よって、クルーの中で一番えらい。
◆ストローク(Stroke)・・・整調ともいう。他のクルーはストロークのリズムに合わせるので、安定したピッチを刻むとともに、クルーを引っ張る体力・技術のある漕手が乗ることが多いです。
◆3番、2番・・・ストロークとバウに挟まれた選手はバウ側(船首側)から順に2番、3番と続きます。エイトだと7番まであります。パワーのある漕手を配置することが多いようです。
◆バウ(Bow)・・・船首に最も近いポジション。選手全員の方向を向いているので、コックスとともにクルーにアドバイスしたり、励ましたりする。漕ぐことによる艇の上下動の影響を一番受け安いポジションなので、技術のしっかりした漕手が乗ると艇が安定する。

シートポジション
シートポジション

◇マネージャーのお仕事◇

うちの大学には、合宿所付きの艇庫がありません。だから、他大学のように毎日の食事作りや洗濯といったことはしませんが、ボート部の運営には欠かせない存在です。そのお仕事は「練習の記録取り」「ビデオ撮り」「会計」「ホームページの管理」「OB会との連絡・調整」その他いろいろ・・・。マネージャーさんあってこそ漕手は練習やレースに専念できるのです。

その魅力

◆一艇ありて一人なし

この言葉はボート競技の特性をよくあらわしています。他の団体競技と異なり、一人の絶対的エースがチームを勝利に導く事がないばかりか、逆にクルーとしてのユニフォーミティーを崩してしまうこともあります。クルー全員が切磋琢磨しつつ、調和していることが絶対条件。このことから、ボート競技は「究極の団体競技」ともいわれます。レースで苦しくなったとき、自分が頑張るからこそ、仲間は自分を信じで限界以上に漕いでくれる。また、仲間を信じているからこそ、自分も全力を出すことができる。ボート競技には、喜びも苦しみもより一層仲間とともに分かち合う魅力があります。

◆スピード

乗ってみればわかりますが、公園の池にあるようなボートとは全く違う感覚です。とにかく速い!(人力によるものとしては水上最速!)静かに水上を滑る感覚はとにかく気持ちいいの一言に尽きます。

◆全身運動

ボート競技では全身をバランスよく使います。よって、体もバランスよく鍛えられ、男女ともに素晴らしいスタイルになります。